ボランティア/社会貢献


以下に書いたのは、私の自己満足の心とお金に対する執着です。

スペンサートリックスは「子供病棟」「重症心身障害児施設」等でボランティア・ショーを行います。遠隔地以外はお金はいただきません。ボランティア活動の経費に関しては、普段、お客様からいただいた出演料の中から捻出します。
なぜ、「子供病棟」と「重症心身障害児施設」かといえば、「子供病棟」に関しては、私自身が子供の時に小児ぜんそくで長期入院を繰り返した経験があり、病気で長く入院している子供にとって、外で友達と遊んだりしたいのに、それができないもどかしさや悔しさを知っているからです。外で野球やサッカーを楽しみたいのに、病気で外に出られない。
一方、「マジシャン」は子供達にとって「ロックスター」のようなものです。大人のお客様は「マジシャンは魔法使いを演じる役者」であることをわかってマジックを観ていますが、子供達にとっては「魔法」です
マジシャンが病室を訪ねてきて、目の前で「魔法」を行い、連絡先の書かれた名刺を渡したら、どうなるでしょう?彼らは魔法使いと友達になれるのです。外で友達とサッカーを楽しむことはまだできないけど、マジシャンの友達ができたのです。病気の辛さと退屈で耐え難い日々を忘れられる、リフレッシュできるひと時を提供できる。マジシャンである私にはそれができ、だから私はそれをします。そして、病気が良くなるおまじないを教えます。「安静にして、心の中で病気が良くなる想像をする」。人間の持つ一番強い力は想像力です。本気でイメージすれば、実現する可能性が上がります。魔法使いが病室に訪ねてきて、目の前で不可能を可能にしたあと、自分にこう言うんです。「何度も強く思い浮かべて。きみの身体が悪い病気をやっつけてしまうところを。どんどん病気を攻撃して、徐々にやっつけていくところを。きみの身体は内側で頑張っているから、普段は安静にしてパワーを蓄えて。お父さんとお母さんの言うことをよく守って、一緒に病気をやっつけよう」。私は心理学も催眠もやっていますので、この効果の強さはわかります。
後日、無事退院して電話でも来ようものなら、嬉しくて泣いてしまうかもしれません。これはある意味、他人から感謝されたいという自分のエゴかもしれません。でもそれで人のためにもなるなら、皆ハッピーじゃないですか。
「重症心身障害児施設」に関しては、10年ほど前、美幌町に住んでいるときに、社会福祉協議会に勤めていた友人の紹介で美幌療育病院という施設でパフォーマンスさせていただいた経験が強く関係しています。最初打ち合わせで施設を訪れたとき、利用者の方々とうまく意思の疎通ができず、係員の方からも「長く集中することが難しいのできちんと観られるかどうかわからない」と言われたこともあり、マジックショーをやっても喜んでもらえないのではないかという不安が一気に膨れ上がったのを覚えています。でも、結局「自分にできることは、今自分にできる最高のものを見せること」と開き直り、当日を迎えました。最初の演目で不思議なことを起こした瞬間のことはたぶん一生忘れません。利用者の皆さんが、一斉に驚きの声をあげ、笑い、手を叩いて喜んでくれたんです。会場を見渡すと、熱心にこちらを見つめる純粋な輝きに満ちたたくさんの目が返ってきました。私のショーを全力で楽しんでくれている。この瞬間、すべての不安は消え、私自身が全力でパフォーマンスを楽しみました。結局、皆は30分以上のショーをものすごい集中力で楽しみ(係員の方々がこのことに一番驚いていました)、最後は拍手と歓声で全身で喜びを表現してくれました。利用者の皆さんと私は、心で繋がることができました。そのひととき、そこには魔法がありました。今までマジックをやっていて、一番嬉しかった瞬間のひとつです。だからまた演りたいのです。これもまた、自己満足かもしれませんが、皆が楽しかったなら、いいじゃないですか。
ただ、ボランティア・ショーをやるには自分に余裕がある必要があります。まずは自分がたくさんお金をもらって安定した収入を得て、その合間で色々なところでボランティアをします。だから私はお金に執着します。自分の仕事でお金を稼げないような人にボランティアしてもらっても、心から楽しんでもらえないと私は考えています。無理していれば、それが必ずどこかの言動に出ます。生きるのに必死に見える魔法使いなんて、誰も見たくはありません。だから私は、めいっぱい稼いで、充実したオーラを全身にまといながら、1円ももらわずにボランティア・ショーをしたいのです。
クライアント(または将来のクライアント)の皆さま、私にさらにどんどん声をかけてください。出演料は実際のパフォーマンスの価値以上には設定しておりません。一度イベントに呼んでいただいて効果を見てみれば、逆にずっとお安く感じられるでしょう。そして、いただいた出演料の一部は、上記のボランティア活動の資金になります今後も、思い切り稼いでいこうと思いますので、一緒に社会に貢献しましょう。