素敵な人生のスキマと幸せのスイッチ。


青春の地、静岡へ。

10数年前、もっとも無軌道で義務と責任に縛られず、見せかけの権利で満ち溢れた輝かしい大学時代を過ごした静岡に3泊4日で行ってきました。
当時はそこの学祭を作り上げる「剣祭実行委員会」の企画部でお化け屋敷を作っており、今回の旅の目的は、そのOB会への出席。
去年は勤め人だったこともあり、慌ただしい日程だったので、今年は日程的な余裕を持っての参戦。

1日前に着いて、生活エリアだった草薙を徘徊。変わりすぎ!草薙駅前にタワーマンションが建ってて、皆を毎回二日酔いの地獄に叩き込んだバー・フーリガンが塾になってて、そしてスーパーのウオチョーがない!時の流れと諸行無常を感じながら、当時のアパートに行ってみたら、建物はあったけど名前が変わっていた。心を落ち着かせるためにミニストップに入って、いつも食べていたパニーニを注文しようとしたら、ない。仕方なくソフトクリームを頼んで、食べながら県大へ。赤いスタジャンの様子のおかしい連中(我らが剣祭実行委員会)の数がおかしい。聞けば100人超え。カオス。
帰り際、見覚えのある黒塗りボードを発見して話しかけたらやっぱりお化け屋敷。企画担当によると看護棟の地下全て使った巨大なものになっているとのこと。自分の始めたお化け屋敷企画が、その後10年以上に渡って受け継がれていることに嬉しくなった。
坂を下って、青春時代に行ったオサレな隠れ家レストランを探すも、なかなか見つからず、もうなくなったのかと思ったところでようやく発見。前からこんなボロかったっけか?それなりにボロかったような気もしてくるけど、ここまでだったか?でも、「準備中」の札がかかってたからまだやってるんだね、「ココパームス」。昼間見ると完全に呪われた洋館だ。

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県美から静鉄で新静岡駅に向かい、駅を出たところで、誰かの熱い視線を感じて見ると、2代上の委員長阿南さん。痩せた!痩せた!一瞬別人かと。近況を軽く語って「また明日OB会で」と別れた。夜は1つ先輩のゆっきいさんと飲み。「康」という居酒屋で、まったりしつつも大いに語って酒が進む。お互いに自分のライフワークを見つけて、大きく人生の舵取りをした者同士なので、話は尽きることなく終電ギリギリまで飲んで、JRに飛び乗ってホテルに戻る。泊まっているホテルは、昨年に引き続き、学生時代に卒論を書きながらナイトフロントのバイトをしていたホテル。当時厳しくも大変お世話になった先輩Hさんがまだ働いているはず。それを見越してコンビニで差し入れのレッドブルを買って戻ると、やはりいらっしゃいました。レッドブルを渡して、簡単な現状報告を済ませると、携帯から名刺をプリントして渡す。とても驚いて嬉しそうだったので、こちらも嬉しくなってもうひとネタ。そこから小一時間、お互いの人生について話し込む。10年以上の時を超えて、こうして語り合えるのは、人生の贅沢のひとつ。

2日目、学祭を観に県大へ。前の日に一緒に飲んだゆっきいさんが一番乗りしていたので合流。居酒屋「康」のマスターがたこ焼きを売っていたので迷わず購入。旨い。そのまま、ホラー絶対NGの超怖がりなゆっきいさんを連れて、例のお化け屋敷へ。自分のお化け屋敷「マーダーマンション」のトラウマになるような恐さはなかったものの、なかなか楽しめた。ゆっきいさんは「マジ無理」を連発していて愉快だった。
午後からは同期が参戦し、休憩スペースでずっと話し込む。女性陣の多くが結婚して母になっていた。不思議な感覚。連れてきた子供たちは皆可愛いかった。なぜだかそこで出されるお茶が沸騰しそうなほど熱い。殺す気か。
夕方前に一度解散し、8時半からのOB会の前に同期3人で「0次会」。当初カフェの予定が居酒屋になり、スタートダッシュで飲み始める。話しても話しても話題は尽きず、あっという間にOB会の時間に。様々な代の人と合流し、総勢80人以上の盛大な飲み会に。集まった人たちは、結婚して家庭を持っている方も多かったものの、人間の根っこが当時のままで、まるで一週間ぶりに会ったかのような感覚で語り合えた。こういうのは良いもんです。

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結局2時過ぎまで飲んで、ヘロヘロになってホテルに戻ると、Hさんはおらず、若いナイトフロントの方からスポーツドリンクを渡された。きょとんとしていると、「Hさんから『たぶん、ヘロヘロになって帰ってくるだろうから渡しておいて』と渡された」とのこと。なんということでしょう。とてもありがたい気分でスポーツドリンクをガブガブ飲んで眠りについた。

3日目、二日酔いの重い身体を引きずり引きずり、県大へ。昼前に同期数人とゆっきいさんと合流。OB会に来られなかった人も合流したので、模擬店の食べ物をランダムに買って、再び休憩スペースで語り合う。「女の子」だった友人が「母」になり、おしゃべりしながら子供をあやしつづけるのを眺める。やはり不思議な感覚。
そろそろ学祭のクライマックスであるコンサートの時間が近づいてきたので、皆でホールへ向かう。今年のコンサートは、スキマスイッチだ。剣祭OBは無料で観られるという特権。
静岡へ向かう前日にYouTubeで3時間半のプレイリストを再生して付け焼き刃に予習した。ライブは2時間半くらいあり、普段洋楽しか聴かない自分にとってはほとんど知らない曲だったが、大いに楽しめた。MCも良かったし、曲も演奏も良かった。特に最後の最後にピアノとボーカルだけで演った『奏』は本当に素晴らしかった。切ない歌詞と変わらない部分を残しながら変わっていく自分たちを重ねてとても心に響いた。今更だろうけど、名曲だね。

コンサートが終わって、解散する前に食事しようということになり、前述の思い出レストラン「ココパームス」へ行くことに。店は記憶にあるままで、夜訪れるとやはり綺麗な洒落た場所だった。いつも食べていた「シャンピニオンのオイル焼き」「バリ風ピラフ」などの思い出料理を皆の舌にシェアし、皆の過去と現在と未来の話に花が咲いた。他に客もおらず、当時と同じクラプトンが静かに流れる店内で、時間がゆっくり流れる素敵な時間。10時近くに解散し、交差していたそれぞれが、自分の人生に帰っていく。

ただ、自分は解散後、ホテルに帰る前に一軒寄らなければならない場所があった。10年前に入って衝撃だった静岡のマジックバー。当時、井の中の蛙だった自分が、後輩を連れて訪れたマジックバーで、自分の稚拙さと無知を思い知り、薄っぺらい心が人知れず折れた場所。今の自分であの場所へ。閉店まであまり時間がなかったが、入店して「前に来たことがあって、また観たくて来た」と言うと、すぐに席を移動し、パフォーマンステーブルに案内される。マジシャンは2人。「とっておきのを見せてください」と頼んで、2人合わせて約20分のショーが始まった。20分後、パフォーマンスが終わったので、「ありがとうございました」と深々と頭を下げ、礼を言った。大変申し訳なく失礼な話だが、そこに昔のような感動はなかった。それなりに上手だったが、感動はなく(誤解のないように言っておきますが、一般のお客さんなら間違いなく目が飛び出るほど驚くことでしょう)、感動がないことに感動した。思えば遠くに来たもんだ。

マジックバーをあとにして、ホテルに戻る途中、ちょっとお腹が減ったので、ホテル近くの餃子屋さんに行くも、ラストオーダー終わったあとで生の餃子しか売れないと言われ、ホテルの部屋では焼けないので、諦めて店を出る際、扉の梁にしこたま頭をぶつけた。良いこともあれば、悪いこともある。

ホテルに戻る前に前日のスポーツドリンクのお礼にナイトフロントのHさんにプレミアム缶コーヒーを買う。ホテルに戻るとHさんが迎えてくれて、「明日、チェックアウトの前に朝ごはん食べる時間ある?ここの結構いけるよ」と言ったので、素泊まりだったが今からでも追加できるなら最後の朝は食べようかと財布を出したら、朝食券をスッと差し出して「お金は要らないから、また来年も待ってるね。スープがめちゃくちゃ美味しいよ」と言った。いい夜だ。お礼を言って缶コーヒーを渡し、部屋に戻った。

朝のスープはめちゃくちゃ美味しかった。

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「変わったことと、変わらないこと」
人生、変わることも素晴らしいし、変わらないことも素晴らしい。どちらも正解なのだろう。

 

今回も、久々に会った何人もの人から「雰囲気が柔らかくなったよねー」と言われた。当時はお化け屋敷で他人を震え上がらせることに全力で取り組みながら、笑顔も少なく、真っ赤な髪と左右で色の違うコンタクトで、ぬるま湯のような企画は叩き潰し、ルール違反の他団体に殴り込む殺気立った印象だったとのこと。
12年間の金融機関生活とこの春から始めたビジネスのおかげか、よく笑うようになったよねと何度も言われて、嬉しいような恥ずかしいような照れ笑い気分。
でも、人間の根っこは変わっていないので、いつも人の繋がりを大切にしながら、社会に流されることなく、自分で選択して、自分が正しくないと思うことは、容赦なく笑顔で叩き斬っていこうと思う。